転校生は憧れの人
『なずなー。明明後日、暇か? 暇だったら久しぶりに2人で――』
『あー、ごめん! その日は、部活があって……』
この日俺はなずなを久々のデー……っ、外出に誘おうとするも、敢えなく撃沈。
しかし、この俺がそう簡単に諦める筈はなく。
『別に1日くらいサボったって構わねぇだろ。今日バイト先で、演劇のチケット2枚貰ったんだ。一緒に観に行こうぜ』
チケットを見せながら、優しく笑いかけた、その瞬間。
『だ、ダメなの!』
ピシャリと、空気が振動した。
『……何かあるのか?』
『あ、いや! そ、そう言うわけじゃないんだけど……。皆が頑張ってるのに、私だけ休むなんて出来ないかなーって』
恐る恐る尋ねた俺に、なずなは少しずつ答えていく。
『なずな……』
お前は何て良い子なんだ!
……1日くらい構わない?
俺が間違ってた。
こんな心の綺麗な妹をもてて、お兄ちゃん幸せだぞ!