転校生は憧れの人
「もう、何で嘘つくのよ!? やっぱり一ノ瀬くんじゃん」
「……っ!?」
一瞬、何が起きたのか理解できなかった。
曇っていた筈の視界が、一気に鮮明になって……。
気づけば目の前に……俺のサングラス!?
「か、返せ!」
咄嗟にそう叫ぶと、急いで女の手にあるサングラスを奪い返した。
あーもー、どーすりゃいいんだよ!
この女、手強すぎんだろ。
「と、とにかく、俺は一ノ瀬じゃねぇの!」
「ちょっと!」
思い切り叫んだ俺は、その女から離れるように早足で歩き始めた。
すると――。
「お兄、ちゃん……?」
「……なっ」
なずなぁーーーーーっ!?