転校生は憧れの人
「ななな、何してんだ?」
「お兄ちゃんこそ!」
ヤベー、足が固まって動かねぇ。
声の先に目を向けると、丁度店から出てきたなずなと憐にばっちりと捉えられていて。
……もういい。この際、強行手段だ。
「なずな、ちょっと来い」
「えっ」
なずなの腕をとると、強引に引っ張る。
「ど、どうしたの?」
「どうしたもこうしたもねえ……。何であんな奴とずっと2人きりでいるんだよ!? 今日は部活だって言ってたよな?」
「へ、あの、今日は買い出しがあたってて……それで、憐くんについてきてもらう約束してて……」
や、約束だぁ!?
アイツ……許さねえ!
「ついてきて正解だったぜ。憐……てめぇよくも――」
「そういうこと」
その瞬間、俺の言葉は奴の笑みによってかき消された。