転校生は憧れの人
「一ノ瀬のこと、家からずっと尾行してたんでしょ」
「……っ!」
「趣味悪いっすよ、お兄さん?」
……なぬ!?
な、何なんだ、あの憎たらしい笑みは!
ふつふつと怒りが込み上がってくる。
「や、やだなー憐。人聞きの悪ぃこと言うのは、止めてくれよ~」
しかし妹の手前、俺はなんとか感情を抑え笑顔で返した。
「そう。じゃあ、その手元にあるサングラスは何?」
「あ? コレ? ……お、オシャレ?」
「その変な口髭も?」
「ああ!」
「ふーん。じゃあ、その穴のあいた新聞紙も……オシャレなんだ?」
「も、もちろ……」
負けた。
だって、そんなわけねーじゃんか!