転校生は憧れの人

「つ、つまり、お前は憐が“好き”なのか……」


「……うん」



恥じらうように頬を染め、それでもしっかりと、彼女は返事した。


まるで、後頭部を鈍器で殴られたような気分だ。


更には、ホレ見ろと言わんばかりに、ニヤリと口角を上げてみせる奴の姿が心に突き刺さる。
　

畜生、何だこの空虚感。


何だこの敗北感はよ……。



「そうか、そう、だったんだな」



ついに、恐れていた日が来てしまったのだ。


悔しい。ずっとなずなの一番は、この俺だと思ってたのに。


だが、何時までもそうはいられない。なずなが好きになったやつに、責任を持ってなずなを守ることを誓わせよう。


突きつけられたら現実に、俺はそう、心に決めた。


でも、最後にひとつだけ、これだけは訊かせてくれよな？