転校生は憧れの人



「なずなは、俺のことずっと好きでいてくれるか?」
 


ただ、それだけが本望だ。


こんなこと訊いて恥ずかしいなんて、そりゃあ、俺にだってわかってる。


それでも、言わずにはいられなかったんだ。



「当たり前だよ! 私はずっとお兄ちゃんのこと大好きだから」 



すると、眩しい笑顔が輝いて。



「本当、か?」


「うん、本当」



嬉しい。


もう、思い残すことは無いだろう。


これで潔く、なずな離れができ……。


……ん?


……んんん?


あの、ちょっと待ってくれません?


ちょっと、巻き戻してもらってもいーっすか?



「ふっ……ふふっ……ふはははは!」


「お、お兄ちゃん?」



俺は今、かなり重要なことに気が付いてしまったぞ!


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