転校生は憧れの人
「一ノ瀬さん」
低くて優しい声が響いて、顔を向ける。
え!? ……落合くん?
私は驚いて、不意に彼を凝視する。
お、落合くんが、私に何の用なんだろう。
「……どうしたの?」
そして、そっと口を開いた。
「はい、コレ。一ノ瀬さん、今日日直だよね? 渡してくれって、先生に頼まれたんだけど」
「……え?」
にっちょく?
落合くんの手には、クラスの日誌。
……も、もしや。
恐る恐る黒板を見てみる。
するとそこには、“一ノ瀬”とチョークでしっかり書かれていて。
「あーーーーーー!」
私は咄嗟に叫んでしまった。