転校生は憧れの人



「もしかして忘れてた?」


「う、うん……」



当然の如く、周りの目線は私一直線。


うぅ……物凄く恥ずかしい。


私は日誌を受け取るなり、堪らなく俯いてしまう。


そんな時。



「一ノ瀬さん、可愛いね」



なんて、笑いながら言う落合くんの声が聞こえてきて。



「……ふぇっ!?」



びっくりした……。


落合くん、いつもそうやってドキッとする発言するんだもん。


しかもそれは、自然と出る言葉。


わざとらしさや嫌みなんて、ひと欠片も見当たらない。


それが女の子からの人気に繋がっているのは勿論のこと、男の子からも人気な理由は、きっと落合くんのそういうところにあるんだと思う。


天性の才能というものは、ある意味恐ろしいものなのかもしれない。


そうやって落合くんを見ていると、ふとあることを思い出した。




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