転校生は憧れの人
「アンタさ」
低く落とされた声。
視線はまっすぐ、そのままで。
「何か俺に言うことない?」
「え?」
じっと、憐くんの横顔を見つめる。
何かって……。
思い当たる節はただ一つ。
咄嗟に、優しい笑顔が脳裏によぎる。
……いや、でもそれはないよ。
あの時憐くんは寝てた筈。この目でちゃんと見たんだもん。
けど、それなら何でそんな質問するんだろう。
も、もしかして感づかれちゃったとか!?
いや。鋭い憐くんならあり得そうだけど、それはさすがにないよね?
……やっぱりこの際、白状してしまった方が……。でも、それで嫌われたら……。