転校生は憧れの人
「あ、で、でも。あたしもナツから聞いただけだから、本当どうかわからないよ?」
放心状態の私をどうにか励ますように、梓ちゃんは声をかけてくれる。
……でも。
「……うん」
今の私は、無理やり不格好な作り笑いを浮かべるだけで、精一杯だった。
……明日、憐くんがアメリカに戻る。
私の思考を停止させたのは、それだった。
悲しい。辛い。
……そんなんじゃない。
ただ、何が何だかわからなくて。
どうしていいかわからなくて。
「もしそれが本当だとしても、なずなに伝えてないのは、きっとまだ言いづらいからだよ。ほら、王子結構、優柔不断なとこあるし!」
「……ありがとう」
優しいなあ、ホント。
その温かさに心がぐっと熱くなった。