転校生は憧れの人
「なー高月、アメリカ行くんだってな」
それは、憐くんの前の席に座る生徒の一声。
耳に入ったその瞬間から、ドクンと音をたてる心臓はおさまることを知らない。
次に聞こえる言葉は何なのか。
額に汗が滲む。
お願いだから“違う”って言って……!
「そうだけど」
……っ!
しかし、空しくも返されたその決定打に、私は暫し硬直せざるを得なかった。
……やっぱり、本当だったんだ。
受け入れなきゃいけないってわかってても、どうしようもないってわかってても、やっぱり信じたくなくて。
でも、これは決して変わることのない事実。
だから嫌でも受けとめるしかないんだ。
……憐くんにちゃんと”ごめんなさい”って言おう。
そう、私は決心した。