転校生は憧れの人
そ、そんな、馬鹿な。
何で憐くんが帰ったことに気付けなかったの。
……どうしよう。
「なずな!」
その時、ポンと肩を叩かれた。
「梓ちゃん……」
「大丈夫?」
心配そうな彼女の顔が、私を覗き込む。
「う、うん」
「はい、嘘」
「……っ」
「あたしじゃ王子の代わりになれないかもしれないけど……でも、ずっとずっとあたしはなずなの味方だから。無理だけはしないで」
優しく包み込むような笑顔。
それが向けられている私は、何て幸せ者なんだろう。
「……ありがとう。すごく嬉しい」
彼女の優しさが身にしみて、胸が熱くなって、涙が溢れそうになった。
私も、ずっとずっと梓ちゃんの味方だよ。