転校生は憧れの人



「あれ? 王子どこ行ったの!?」



ふと、目を丸くして驚く梓ちゃん。



「早退したみたいだよ。明日の準備があるからって……」


「っ!? じ、じゃあ……」


「うん。アメリカに行くの、本当だった」



私は精一杯の笑顔を浮かべる。



「王子と、ちゃんと話したの?」


「ううん……。いっぱい伝えたいことあったんだけどなー」



そうなんです。


いくら伝えたいって思ってても、本人不在じゃ何もできないよ……。



「じゃあさ、学校終わったら家に行ってみたらどうかな! なずな、家隣でしょう?」


「あ、そっか!」



そうだよ、私家隣だったんだ!



「あ、でも。明日の準備の邪魔になったら悪いし……」


「あー、確かに。忙しそうだよね」



となったら、どうしたらいいんだろう。


今日は大変だろうし。


今日……。



「そうだ!」


「へ?」


「私、明日空港に行くよ!」



今日が駄目なら、明日しかない!





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