転校生は憧れの人

「俺、一ノ瀬のことめちゃくちゃ好きなんですけど」


「……っ！」



心臓が止まるかと思った。


彼の口から出た言葉は、私の心をギュッと強く掴んだ。


嘘？　本当？


……信じられない。


こんな台詞が憐くんの口から聞けるなんて、思ってもみなかったから……。


嬉しい。幸せ。


そんな感情が渦巻く。



「わかった？」


「……う、うん。ありがとう」



そうそっと告げた時、憐くんは私の涙を指で優しく拭った。



「そーゆーことだからさ、もう泣くの止めてくんない？　そんな顔されると辛い」


「ご、ごめんなさい！」



困ったような憐くんの顔。それを見るなり、私はごしごしと目をこすった。


そして、最大級の疑問を口にする。



「で、でも、いつから」


「……さあ」



……え。さあ？


また“さあ”なの!?



「ていうか、アンタのせいで超ハズいんだけど」


「へ？」