転校生は憧れの人



わけがわからずそう零したのも束の間。


私は、一瞬にして全身に冷や汗をかいた。


……わぁっ、めっちゃ見られてるよ!


私達は知らぬ間に、ロビーを行き交う人の視線を全て集めてしまっていて。



「憐くん……」



恥ずかしさと申し訳なさとで彼を見る。


私があんなに叫んじゃったから……。



「……何で全然気付かないの?」


「うっ。えっと、ど、どうしても憐くんに伝えたいことがあって。それだけでいっぱいいっぱいで」



……とっても恥ずかしい。


呆れた憐くんに促されるようにして、ひとまず目立たない隅にそっと移動した。



「そうそう――」



そして次の瞬間、突如繰り出された彼の言葉は、またもや私を驚かせた。






< 278 / 309 >

この作品をシェア

pagetop