転校生は憧れの人
「で? 何かあったん?」
「っ、そうそう! じ・つ・は!」
すると表情は一変。
ムフフ、と弧を描いた瞳で滝川くんを見る。
「ナツ、楽しそうだね」
「うん。とっても」
苦笑いの梓ちゃんに、私はしっかりと頷いた。
「なんと、なんと……俺よりも“チビ”がいたのだー! ふははははは!」
「自分で自分のことチビって認めとるし」
そんな小さなツッコミは、彼の耳には一切届かないようで。
吉野くんは、ただ1人笑い続ける。