転校生は憧れの人
-Ren side-
雲一つない晴天。
緑が元気に色づく今日は、日本に帰国したその翌日。
俺は、久々に校門をくぐった。
「憐くん、おはよう!」
席に着くなり、聞き慣れた声。
その声に目を向けてみれば、やっぱり。
「……はよ」
柔らかな一ノ瀬の笑顔を捉えるなり、そっと返した。
一ノ瀬は、俺の〝彼女〟だ。
この前空港でいつから好きだったのとか訊いてきたけど、
そんなの俺だって知らない。
いつのまにか、目が離せなくなってた。
「久しぶりだね」
「は?」
……久しぶり?
何言ってんの?
突如彼女が発した想定外の発言に、俺は思わず声を洩らす。