転校生は憧れの人
1章
転校生は憧れの人
-Nazuna side-
「びっくりしたー! あの超イケメン転校生が、なずなの知り合いだったなんてね~」
そう元気な声で話すのは、私の親友である椎名梓(しいな あずさ)。
新しい話題が大好きな梓ちゃんは、いつになく楽しそうに声を弾ませる。
「私も驚いたよ。……もう、一生会えないと思ってたから」
「例の“憧れの人”だもんね!」
「う、うん」
……そう。今日転校してきた彼――高月憐(たかつき れん)くんは、私の小学校の同級生。
そして、今でも想い続けている初恋の人、だったりする。
小学6年生の1学期に突然アメリカへ行ってしまってから、もうずっと会っていなかった。
あの時憐くんが転校するのを知ったのは、既にアメリカへ行ってしまってからのことで。
私は想いを伝えることも、消し去ることも出来ず……結局、胸の中にそっとしまい込むことにしたのだった。