転校生は憧れの人
「えっとね。わ、私と憐くんのこと、文化祭の時からお似合いだと思ってたよって……」
辛うじて聞き取れる程度の小さな声。
自らの手を胸の前でぎゅっと握りしめながら、彼女は俯きかげんで言葉を繰り出していく。
「で?」
俺は更に言葉を促す。
「応援してるから……ずっと一途な一ノ瀬さんでいてねって」
……へぇ。
案外いい奴じゃん、アイツ。
そんな時、潤んだ瞳と目が合う。
しかしその刹那、その目線は再び足元へと動かされた。