転校生は憧れの人



滲んだ瞳。


震えた唇。


まさか、泣くの我慢してる……?


そんな姿を見ていると、何だか可笑しくて思わずフッと笑みが零れてしまった。



「憐くん、わ、笑ってる?」


「アンタさ、人の言うことすぐに信じ込みすぎなんだよね」


「へっ」


「そんなの、本気なわけないじゃん」



……あー、本当に一ノ瀬といると調子狂う。


だいたい、言わなくても気付いてくれたらいいんだけど、一ノ瀬相手だとそういうわけにはいかない。


そして数秒後、目の前の少女は、硬直したと同時に一気に紅くなった。





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