転校生は憧れの人
「よかったじゃん、なずな」
後ろから肩を掴まれ、耳許に響く梓ちゃんの声。
「うん」
私がそう笑うと、彼女はニッと笑い返して席へ戻っていった。
少し話しただけで、一瞬目があっただけで、5年という月日がまるで嘘みたいに溶けていく。
そして何より、同じ空間にいるということが最高に嬉しいんだ。
嗚呼、放課後が待ち遠しい。
少しでも長く姿を見ていたいと思う、我が儘な気持ち。……ちょっとくらい、いいよね?
小さく拳を握り締めた私は、放課後の部活に胸を高鳴らせた。