転校生は憧れの人
だから、本当に信じられなかった。
忘れることのないその顔。
変わらない雰囲気。
懐かしい感覚。
成長した彼の姿がこの目に映ったあの瞬間、私の中で確かに何かが蠢いた。
──何がどうなっているの?
段々速くなる鼓動。
その反面、限りなくゼロに近づいていく思考速度。
あの“憐くん”が目の前にいる。
幻覚?
いやでも、こんなにも鮮明に見える……。
けど、何で憐くんが?
私は暫く、ただ呆然としていた。
だって、こんなにも幸せなことって……。