転校生は憧れの人



憐くんは尋ねると、私の方に袋を出してみせる。



「そこに、置いてくれるかな?」


「りょーかい」


「ホントに、ありがとう」


「別にいいよ」



感謝の笑みを浮かべる私に、荷物を置き終えると彼は答えてくれた。



「手伝わせちゃってごめんなさい」


「何で謝んの?」



そんな一言に、驚いて。 



「俺が持つって言ったんじゃん」



そんな一言が、嬉しくて。


じんわりと温かくなる心に、やっぱり私の気持ちは変わらないんだと再確認した。
 

“ありがとう”


もう一度だけ、心の中で呟いた。 





  
< 58 / 309 >

この作品をシェア

pagetop