転校生は憧れの人
「変、かな」
「は? めちゃくちゃかわい……じゃなくて! その、どっか行くのか」
ああ、そういうことか。
理解した私が口を開こうとした時。
「お友達と遊園地に行くのよ。ね、なずな」
「う、うん」
「んっ……何ぃ!? まさか、男も一緒じゃないだろうなァ」
お兄ちゃんは、物凄い勢いで声を上げた。
……あっ。
不意に時計を一瞥すると、もう家を出る時間になっている。
「じゃあ、行ってきます!」
「気をつけるのよ? 行ってらっしゃい」
「なずなーあ!」
そんなお兄ちゃんの悲痛な叫びを振り切って、私はドキドキを秘めながら元気よく玄関を飛び出した。