転校生は憧れの人



その時、パチリと視線が合った。


隣の家から出てきたその人は、一瞬驚いた表情をすると、何も言わずに私を見ていた。



「おはよ……!」


「うぃっす」


「あの、憐くん。駅まで一緒に行かない?」


「別に良いよ」



勇気を出して誘ってみる。


すると、いつものクールな声が返ってきた。



「じゃあ、行こっか」



そう言って、チラリと隣の彼を見る。


憐くんは白のTシャツに青のチェックの羽織りを合わせた、シンプルな格好をしていた。


そして、深く被った帽子が何とも憐くんらしい。


……そういえば、憐くんの私服見るの久しぶりだなぁ。





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