転校生は憧れの人
『それは違う。……でも、一ノ瀬が無事で良かった』
『へ?』
一瞬、心臓がピクンと跳ねた。
そっぽ向いて言う彼に、何故か顔が熱くなる。
今までは、クールな彼しか知らなかった。
だけど今知ってしまった、憐くんの優しい一面。
『憐くんって、優しいんだね』
『別に』
すっかりいつも通りになった憐くん。
そんなギャップに、きっとあの頃の私は惹かれてしまったんだろう――。
「何ボーッとしてんの?」
「――っ!」
ポスリと被された帽子。
突然すぎて、私は呆然とする。