転校生は憧れの人
どうしよう。かなり気まずいよぉ。
真っ赤になった顔を隠しながら、チラリと憐くんを見る。
すると私の目に映り込んだ憐くんの表情は、まるっきりいつも通りで。
……あれ。まさか、聞こえなかったとか?
そうであってほしい。というか、そうであってください!
私は震える手を握り、そう強く祈った。
「一ノ瀬」
「ひぇっ!?」
な、何!?
急に名前を呼ばれて、思わず間抜けな声を上げてしまう。
すると憐くんは、私に被せた帽子をサッと取って軽く笑った。
「変な声。……着いたよ」
外を指差しながら落とされたその声。
それに促されるように外を見ると、さっき私達を見送ってくれた係員さんの顔が見えた。
観覧車から降りた私達は、無言で歩き出す。
すると、ほんの少し進んだところですぐに梓ちゃんと滝川くんの姿が目に入った。