さよならまでの時間
飛行機の中で、俺は、翔にさっき部屋から持ち出した指輪を見せた。
「これって・・・」
「これ、北海道に出発する前に、りんに渡すつもりだったんだ。この指輪を渡して、プロポーズして、待っててもらおうと思ってた。でもあんなことになって・・・捨てようと思ったけど、やっぱり俺、りんじゃなきゃダメだって・・・だから、捨てられないでいたんだ。」
「でも聡、それ、どうするつもりなんだよ。りんに渡すのか?」
「あぁ・・・俺、りんにプロポーズする。仕事やめて、りんのそばにいたいんだ。今まで一緒にいてやれなかった分、りんのそばにいたいんだ。」
「わかった・・・」
その後、翔は何も言わなかった。