刹那のひかり
ナミの表情は固まった。

あの頃の記憶が鮮明に脳裏を駆け巡る。

間違いなくナミの目の前にいたのは

あの頃と変わらない姿のミサキだった。

涙が溢れそうになる。

ミサキ?

だけどミサキは死んだ。

でも容姿すべてはあの頃のミサキ。

「名前は?」

恐る恐るミサキに聞いた。

ミキと名前を改めて生きてるミキに。

「ミキだよ!!よろしくね♪」

信じられなかった。

信じようともできなかった。

ミサキなのに。

ミキだなんて

信じがたいものだった。

ナミの目からは自然と

涙が溢れ頬を伝っていた。

「ナミくん…?」

「あぁごめん…俺のさ

好きだった…好きな人に

あまりにも似ててさ。」

「大丈夫ですか?」

「あぁ気にしないで。

大丈夫だよ。」

ナミはミキに嘘をついた。

いままで嘘をつくような

男じゃなかったナミが…。

ナミの心は破裂寸前だった。

好きだったミサキが。

死んだはずよミサキが。

あの約束…守れそうにもない。

だって目の前にミサキがいるから。
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