素敵に政略結婚♪◆
まだ緊張が解けない春乃の頭を建志はゆっくりと撫でた。
「よかった。僕のこと…
ちょっとは気に入ってくれたみたいでーー」
建志はほっとしたように笑ってティーカップをどうぞと春乃に差し出した。
春乃は戸惑ったようにティーカップを受け取ってから
「あの…け…建志は、私でーーいいんですか?」
一番聞きたかったことを春乃は口にした。
建志は困ったように笑った。
「ごめんね。
僕の方こそ、春乃から見たら28歳ってオジサンだよなぁ。
しかも、結婚が決まってから
一度も会えず、さっきの式で初対面って…
最低な男で、本当にごめんね。」
綺麗な眉をひそめて、建志は春乃に謝った。
「い…いえっ。---どうせっ
あの。『政略結婚』ですからーーー」
そう。
この結婚は、どう見ても政略結婚。
柳瀬川家と日向井家が業務提携に伴う政略結婚。
春乃も、幼いころから家のためになる方に嫁ぐんだと言われ、
そうあるべきだと覚悟はしていた。
ただ、まさか高校卒業と同時に結婚させられるとは思わなかったけど。