素敵に政略結婚♪◆
「午前中は会社の方で会議ということですので、
ランチの時間を狙って会社に顔をだしますか?」
ナナがゆっくりとあたたかい紅茶を注ぎながら
春乃の前に出した。
「うぅーん。・・・
でも、やっぱり迷惑になると思うのでやめておきます。」
そりゃ、仕事をしている建志さんとか見てみたいけど・・・
うん。
かっこいいだろうなぁ。
「迷惑だなんて、奥様なのにっ。」
「でも、いいんですっ。
私がクッキーを渡すの忘れていただけだから・・・
また作ればいいですから。
今度は、もっとおいしく作りますので大丈夫ですよ。」
春乃は、建志に上げる予定だったクッキーの包みを
開けて、ひとつ口に入れた。
クッキーは口の中でサクリと砕けた。
ナナは納得しないように、なんども 持っていけばいいのにぃ と
つぶやいていた。
ソレをみて、田代さんが「おせっかいだな。」とからかって、
その様子がおかしくて春乃は笑った。
ピンポーン。と、解りやすいインターフォンの音が響いて
『招待状』が届いたのは
一か月ほどたって、ようやく新婚生活も落ち着いて、
春乃もこの生活に慣れてきたころだった。