素敵に政略結婚♪◆
***
「---なんだ。
結局、俺がお預けか。」
シャワーから出た建志は笑いながら髪の毛をタオルでぬぐった。
あーぁ。無理やり、一緒にシャワーに連れ込めばよかった。
待ちくたびれて、
ベッドですやすやと寝る春乃を見て、
また、ふふ と笑みがこぼれる。
ーー大丈夫。俺、ちゃんと春乃が好きだな。
なんて思いながら、建志は携帯電話に手を伸ばして
寝室から、自分の部屋へと向かう。
寝室の左右に
春乃の部屋、建志の部屋。
建志の部屋は
ウォークインクローゼットと、壁一面の本棚。
後は机とパソコンだけという、シンプルな『書斎』だった。
建志は机に持たれながら、
我が妹「志保」にダイヤルする。
薄暗い室内に、月明かりがほんのり差し込む。
3コール響いて、電話がつながった。
『もしもし?建志?』
「あ。志保?
遅くにゴメン。」
『大丈夫だよ。
---もしかして、お母さんのパーティの件?』
「そう。春乃も一緒に行ってほしんだけど。」
『大丈夫よ。私も一人で行くし。
春乃さんが一緒に行くならうれしい。』
「えーー?志保の愛する旦那様は?」
『…出張よ。延長してあと2週間。
予定通りに仕事が終わらなかったんですって。』
不満そうに言う志保に建志は
苦笑いを浮かべる。
「仕事か~。
案外、誰かに言い寄られてたりしてな~」
『・・・建志の意地悪っ!
でも、大丈夫よ。
浮気されたら、慰謝料をふんだくって別れてやるから。』