素敵に政略結婚♪◆

「うん。やっぱり春ちゃんは着物がよく似合う。
 髪飾りも素敵だね。」

夏樹さんが、髪を撫でるように、うなじもなぞってーーー

背筋がぞくっとする。

指先の感覚が首に残って、
私の表情が一瞬にして凍りつく。


「やっ・・やだぁ。夏樹さん。
 相変わらず、お上手ですね?」

それを誤魔化すかのように、できるだけ自然にニコリと笑う。

夏樹さんはやけにスキンシップが多い。
なんだか、視線も気になる。


「僕はいつでも本気だよ。
 春ちゃんは可愛いよ。

 僕が、
 何度も、春ちゃんをお嫁に欲しいって言ったのに…

 こんな政略結婚なんてさせられてーーー」 
 
ーーそうなのだ。
夏樹さんは何度も、両親に結婚を申し込みしていた。

そのたびに、
丁寧に断っていた。


きっと、私が高校卒業後すぐに結婚させられたのも、
きっと夏樹さんに諦めてほしいからっていうのもあったんだろう。



「でも・・・私は、今・・幸せですから。」

夏樹さんの前で、硬直した顔を出来るだけ、
シアワセそうに笑った。






夏樹さんはーーー
一度離婚している。

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