素敵に政略結婚♪◆


夏樹さんは、ポンっと春乃の頭を撫でた。

「春ちゃん。
 ビックリさせて、ごめんね?」


夏樹さんは、
そのまま、固まっている春乃の顎を持ち上げて、


ちゅっ


と触れるだけのキスをした。




春乃は柔らかい感触に
一瞬 何が起こったか理解できなかったが、

キスをされたと解って、

「なっーーっ!!」

顔を真っ赤にして、唇を抑えた。



「春ちゃんに、口止め料。
 誰にも内緒だよ?」


そういって夏樹さんはまた 優しい笑顔を浮かべた。






不意にファーストキスをうばわれた春乃は、
その場を走って逃げた。



ただ、なぜだか自分の部屋に入ると、
夕日がやけに綺麗で、
涙が流れた。


初めて『男』というものに触れて
夏樹さんがーーー怖かった。

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