素敵に政略結婚♪◆
突然話しかけられて春乃は
びくっとなる。
「は・・・い?」
なんだろうか。
「僕は、数ある『柳瀬川家』の為になる政略結婚の中から、
一番利益を与えるであろう『日向井家』の令嬢である君を選んだ。」
「はい。
ソレは承知しております。
恋愛感情などなく、損得勘定だということも理解した上での
結婚だとーーー」
「でもね。数あるお見合い写真の中から、
春乃を選んだのは僕だよーーー?
君と、素敵な政略結婚生活を送りたいんだ。
だから、僕を好きになって?」
春乃はどきんとする。
まっすぐ見つめられる綺麗な黒い瞳ーー。
やわらかそうな唇に優しい笑顔。
それがすべて春乃に向けられている。
「・・・あのっ。今日、初めてお会いして
すぐに『好き』という感情は・・・わかりません。」
春乃は正直に言葉にする。
たしかに、こんなに素敵な人に見つめられたりして
どきどきするし目も奪われるーー
果たしてコレが『好き』なのかいまいちわからない。