素敵に政略結婚♪◆

リュートさんがそっと後ろから私の肩に手をまわして
守る様に引き寄せた。


「やだなぁ。
 何?キミ。付き人?執事?
 
 使用人ごときに、口出しはされたくないな。
 なぁ?春ちゃん?」

また柔らかく微笑む。


「---。」

春乃は無言で、リュートの袖を キュっとつかんだ。
何を考えているかわからない夏樹が怖い。

なぜ私に構うんだろう。


「しかしながら、
 奥様も困っているようですので・・・・」

リュートはあくまで柔らかい物腰で
夏樹ににっこりと綺麗な微笑を向けた。


「やだなぁ。僕と春乃は昔から知ってる気ごころ知れた仲だよ。
 困ることなんて無い。
 
 失礼だなキミ。」


夏樹は不愉快そうに
リュートに視線を投げる。

リュートは相変わらず綺麗な微笑を崩さない。


ーー。いけない。

「りゅ・・・・リュートさん。
 あの。私は大丈夫ですから・・・

 夏樹さんは私の従兄弟ですが…

 ずいぶん久しぶりだったから、
 私が…その、緊張してしまって。

 二人とも・・・すいません。」


あわてて私は頭を軽く下げる。

私のことで雰囲気が悪くなっても困るし、
穏便に済ませたい。

リュートさんは「失礼しました」と丁寧に頭を下げてまた一つ下がり、
夏樹さんは満足そうに、ふふん と笑った。


< 121 / 213 >

この作品をシェア

pagetop