素敵に政略結婚♪◆
どこから見ても、幸せそうな二人。
言葉をいくつか交わす新郎新婦を見ていると、
夏樹さんが、ほかの女性とキスしてた。
なんて事が嘘だったかのように思える。
「では、新婦様は支度がありますので・・・」
係員の一言で、
母と、私と、夏樹さんはその場を離れた。
「春ちゃん。待ってっ」
部屋から出ると、
不意に腕をつかまれた。
「きゃっ。」
びくっと肩が揺れる。
何?
と、戸惑っていると、ママは
「じゃぁ、あちらに挨拶してくるわね」
とさっさと立ち去ってしまった。
ちょっと…ママっ…。
「くす。大丈夫だよ?春ちゃん。
僕だって、こんなところでは何もしなよ?」
優しそうに笑う夏樹さん。
私は、
掴まれた腕が居心地が悪くて、
胸がドキドキと高鳴った。
「口止め料。ちゃんと聞いてくれたんだね?」
夏樹さんは、
唇に、そっと指を当てて ふふ と笑った。