素敵に政略結婚♪◆

夏樹さんは驚いたように
私を見つめ返した。

「…ふぅん?

 別に、からかっているつもりは無いんだけど。」

そういって、
ゆっくりと、私の唇に指を添える。


突然、触れられたことに驚いて
ビクッと一歩後ろにさがる。


「私の知っている夏樹さんはーー
 あんなことする お兄ちゃんじゃ無いのにっ」

思わず、小さな声で吐き出す。

「へぇ、うれしい。

 そんなに好青年に見えるんだ?僕ーーー
 
 あんな事ってどんなこと?春ちゃん。」

楽しそうに、
くすくす笑う夏樹さんは
優しそうに見えるけど、

私は、怖くてその場から逃げ出したかった。


でも、
逃げ出せない。


こういう時って、
体が動かないって
本当なんだなと思う。


「あんなことって・・・キーー」

「キスは、外国じゃぁ挨拶だよ?
 日本でも、
 キスぐらいはもう常識じゃない?」


夏樹さんは、
にっこりと笑う。

なんか、言いくるめられて言葉に詰まる。

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