素敵に政略結婚♪◆
***


「綺麗だったわね~
 春乃もいつかああやってお嫁に行くのかしら。ねぇパパ?」

「え?
 そうだなぁ。
 でも、想像するだけで泣きそうだな・・・」


両親の会話を聞きながら
春乃はただぼーっと帰りの車に乗っていた。


「春乃、元気ないみたいだけど大丈夫?」

「だ…大丈夫。ちょっと疲れちゃっただけ」

ママが顔を覗き込んできた。

まさか言えない。
夏樹さんにプロポーズ?されたって…


「そう?
 大丈夫よっ。春乃にはパパと素敵な人を見つけてあげるからっ。」

「やだ、結婚相手とかまだ早いしーー
 それに自分でちゃんと見つけますっ。」


ママの意見にあわてて私は却下した。

「何言ってるんだ。
 春乃には結構申込みも多いんだよ。
 幼いころからの婚約者ってのもありだろう?」

パパが楽しそうに付け加えた。

確かに、
私の周りには、何人か『婚約者』がいる人も多い。

「夏樹のような優しいひとがいいわね~~」

「そうだな。」

「!!嫌よっ。
 夏樹さんだけは絶対に…嫌っ。」

思わず大きな声で叫んだ。


「ど…どうしたの?春乃?」

ママの声も遠くで聞こえた気がした。


< 133 / 213 >

この作品をシェア

pagetop