素敵に政略結婚♪◆
過去の女
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ミルクティーの香りが
ふんわりと漂う。
あわいグリーンのティーカップをじっと見つめて
その香りに包まれる。
「志保ものむ?」
「私はミルクティー好きじゃないし。」
「そうか?」
向き合う少し重厚なアンティーク調の
テーブルで
建志の妹である志保は少し顔をしかめた。
「でも香りは好きよ。」
向かい合って座る男はふっと笑みをこぼして
ミルクティーに口をつけた。
バランスのとれた体つきに
ふわりとした明るい髪色にグレーの瞳。
なかなかの整った顔立ちの男性。
志保の忙しい旦那様である。
「そろそろ行かなくちゃ、時間に遅れるんじゃない?」
「あー、いいよ。俺の優秀な秘書は適当にやってくれるよ。
これ以上働かされたら
過労で倒れる。」
ため息交じりで楽しそうに笑った。