素敵に政略結婚♪◆
散歩
「いってらっしゃいませ。」
「うん。行ってくるね。春乃。」
玄関先でにこやかに笑う建志を春乃は見送った。
門の手前にリュートが
車のドアを開けて待っているのが見える。
春乃は軽く会釈をした。
リュートも、軽く手を挙げて合図をする。
リュートさんって、
運転手さんなのかしら?
春乃は、遠ざかる車を見ながら
そんなことを思った。
「奥様。おはようございます。
いい天気ですね。」
「おはようございます。奥様。」
振り返ると掃除用具を持った佐々木さんが立っていた。
隣には白いエプロンをつけた若い女性。
「お…おはようございますっ。」
春乃はあわてて振り返って
ぺこりとお辞儀をする。
「まぁまぁ、奥様。そんなに緊張なさっては私たちが困ります!」
あはは。と佐々木さんは人のよさそうな笑顔を浮かべた。
「奥様。私は佐々木 ナナです。
奥様のお世話係をさせていただきます。
何かありましたら、すぐにお申し付けください。」
私の娘なのよ~
と、佐々木さんはまたあはは。と笑った。
「よろしくおねがいしますっ。ナナさん。」
春乃はまたあわてて頭を下げる。
「奥様。そんなっ。こちらこそよろしくお願いしますっ」
ナナもあわてて頭を下げる。
その二人の様子をみて、佐々木さんはまた笑った。