素敵に政略結婚♪◆
ーーやだ。建志…怒っちゃった?
春乃は閉ざされたシャワールームの扉を
じっと見つめていた。
「・・ど・・・どうしよう。」
怒らせてしまった・・・。
微かな香水の匂いに、
どうしようも無いくらい胸がもやもやして、
電話のあの鼻につく女性の声を思い出して吐き気がする。
だから、思わず建志を突き飛ばしてしまった。
はぁ・・・
もう少し、大人な女性にならなくちゃ。
春乃は重い体を起こして、
自分の部屋のクローゼットへと向かう。
気は重いけど、
できるだけ、明るく建志に行ってらっしゃいしよう。
そう思って
明るめのグリーンのワンピースを手に取る。
これはパパからのプレゼントだ。
お嫁に行くから少し落ち着いたデザインのワンピースをと言って
持たせてくれた。
袖を通すと、なんだか無性に両親に会いたくなった。
軽く身支度を整えると、
ベッドールームへ戻る。
建志もちょうど身支度を整えて
ネクタイを締めたところだった。
「あのっ。建志ーー」
コンコン。