素敵に政略結婚♪◆

さーーっと流れる水道の水が心地よく春乃の指を伝う。

「熱いから、気を付けるんだよ?
 --奥様に何かあったら、ワシらは首ぐらいじゃ済まされない。」

田代さんは、真剣に春乃を見つめていうものだから、
なんだか、すごく悪いことをした気分になる。

「ご・・ごめんなさい。気を付けます。」

ほんのり赤くなった指先に、
くるりとガーゼとテープを手際よく
田代さんが巻きつけていると、ナナと松本さんが入ってきた。

「あらっ?!
 大変っ。奥様、怪我なさったんですか?」

ナナがあわてて駆け寄る。

「大丈夫です。軽いやけどです。」

「奥様、すぐに病院にーーー」

松本さんが、あわてて部屋を出ようとするものだから
春乃の方があわててしまう。

「松本さん。大丈夫です。

 ほらっ。クッキーも焼けましたよ。
 皆さんで、お茶にしましょう?」

ほんのりバニラの香りがあたりにただよう。


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