素敵に政略結婚♪◆
『柳瀬川家の第二邸宅』と言われたその家は
部屋の作りや間取りこそ広く贅沢に作られているものの、
二階は春乃の部屋と、彼の部屋。
そして、その二つの部屋をはさむように
二人の寝室しかない。
二階は完全に二人のプライベートルームだ。
一階は、玄関ホールを抜けてリビング
キッチン、奥の方に住み込みの家政婦さんや運転手さんなどの部屋が
5部屋くらいあるらしい。
使用人さんの半分は通いで働いている。
「ーーーで、いつもはシフトや休みの人もいるから
通常は4~5人ぐらいしかいないんだけど、
今日は、春乃が初めて僕の妻としてこの家に来るから
全員出勤してもらったんだ。」
彼は玄関ホールで軽く説明をしたあと、
キラキラとした笑顔で彼はまっすぐ私を見つめた。
ーーどきっ
そんな素敵笑顔を投げかけられたら
顔が赤くなってしまう。
「あのっ。…みなさん。
春乃です。日向井…春乃ーーーあっ。違います。」
あわてて訂正する。
「柳瀬川 春乃です。不束者ですが、よろしくお願いします。」
新しい苗字に戸惑いながらも
深々とお辞儀をした。