素敵に政略結婚♪◆

「おいしぃ~~っ。」

一口食べたナナは思わずパタパタと足をバタつかせる。

「ほんとっ。おいしい。田代さんありがとうございます。」

「いやいや、奥様が頑張ったからだよ。」

田代さんが照れたように
頭をかいた。

ほろりと口の中でほぐれるクッキーは
初めて作ったのに上出来だ。


一通り食べ終えて、紅茶を飲みながら、ナナは思いがけない提案をした。

「奥様。これ、旦那様に届けましょう?」

「えぇーー!?」


ーー無理っ。今朝のことで会うのが気まずいのに…
 

「だって、きっとうれしいはずよっ。ねぇ松本さんっ?」

「え??はぁーーでも・・お忙しいんじゃ…?」

松本さんはナナをなだめるように、
苦笑する。

ナナはぷぅと頬を膨らませて、松本さんに食って掛かる。


ナナさんのそういう表情がくるくる変わるところ
素敵だなぁ。

なんて思いながら
二人のやり取りをぼーっと眺めていると、
家の固定電話のベルが響いた。


「だれかしら?」

ナナはすっと立ち上がって、
電話を取りにドアの方まで駆け寄った。
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