素敵に政略結婚♪◆

春乃はクッキーを数枚、別の小皿に分けた。

建志・・・帰ってきたら食べてくれるかな…

今朝の眉間にしわを寄せて、
困ったような建志を思い出した。


「お…奥様?お疲れでしたらお休みになった方が…」

庭師の松本さんが優しい声で
心配そうに春乃を見つめる。

「あ。いえ。
 ありがとうございます。大丈夫です。

 あの・・・松本さんはこの家につかえて長いんですか?」

「え?そうですね。
 父の代からお世話になってまして、本家の庭師をしていました。
 僕は高校卒業してからですので、
 10年になりますね。」

「奥さん、松本と旦那さんは同級生なんだよ。
 同級生に見えないよなぁ。」

作業ズボンにTシャツといった出で立ちの松本さんは
確かに年齢より若く見えた。
大学生ですと言っても、解らないかも。


「では、建志をずっと知ってるわけですね?」

「え?えぇ。まぁ。表面的に、使用人としてですが。」

「じゃぁ、建志って--- モテますよね?」

思いがけない質問に松本さんは
ぐっと言葉に詰まった。

春乃は、じっと詰め寄る様に松本さんを見つめる。


「あの…奥様・・・」

松本さんは少し顔を赤らめてから、
春乃から目線をそらす。



・・やっぱり、建志は浮気性なのかしら?


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