素敵に政略結婚♪◆
「あの?松本さん?」
口ごもって目をそらす松本さんをもう一度覗き込む。
「うわっ。あのっ奥様・・」
あわてて、松本さんは顔を真っ赤にしながら、
椅子ごと体をガタンとのけぞらせた、
「あっはっは。奥さん。
あまり近づくなよ~、コイツ、女性が苦手なんだ。」
「え?」
春乃は、田代さんの声にびっくりしてもう一度松本さんを見た。
すいません。と小さく口ごもる
顔を真っ赤にした松本さん。
「す・・すいません。」
春乃は、あわてて椅子に深く腰掛け直した。
「い・・いえ。こちらこそ。すいません。
あの、旦那様の話でしたよね?
えぇっと、
建志君はーー高校までこちらの○○学園に通われて・・・
大学はイギリスに留学されていたんです。
あの優しそうな容姿ですのでモテてはいたようですが、
あの・・・何と言いますか、そのぉ。」
松本さんは昔のことを思い出すかのように
上を向いて話しながら、再び言葉を濁した。
「来る者、拒まず。だったんです。」
ふと、うしろからナナの声がする。