素敵に政略結婚♪◆

春乃が振り向くと、少し顔を曇らせたナナが立っていた。

「私も、母が本家から勤めていまして幼少のころから出入り
 していますので…」

ナナはそういって、軽く頭を下げた。

「あの。では、建志はーー
 建志の女性関係ってそんなに…あのーー」

春乃は、少し聞きづらくて言葉を濁した。
ナナと松本さんは顔を見合わせて、二人とも少し困った顔で笑う。
口を開いたのは、松本さんだった。

「あのーー奥様。

 確かに、旦那様は学生のころはいろいろお付き合いされていましたが
 今は、奥様だけですよ!
 浮気など心配なさらないでください。」

「そうですよ。奥様。
 それに、言い寄られてーーっていうのは多かったですけど、
 旦那様からっていうのは無いですし。」

ナナも、フォローする。



でも、やっぱりモテていたってことだよね。

春乃は知らずにため息が漏れてしまう。


「なーんだ。
 建志の浮気を疑ってっから、朝から喧嘩してたわけ?」


ガタンと、
乱暴にドアを開けながら
低い声が響いた。

「リュート!早いわね。」


ナナが、パッと振り向く。
視線の先には、
ネクタイを外してスーツを着崩したリュートが立っていた。
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