素敵に政略結婚♪◆

「ナナ。遅いよ。
 もう着くから、書類用意しててって電話したのに、
 誰も、玄関に出てくれないから、俺わざわざ入ってきたんだぜ?」

リュートは綺麗な髪の毛をさらりと払った。
ナナは「ちょっとまってよ」と言いながら
書類を取りに、奥へと下がった。


「リュートはもう、オフモード?」

松本さんがおかしそうに笑って
リュートに席を譲る。

「あー。ありがと、松本さん。
 なになにー?クッキー?田代さんの?」

リュートはうれしそうにクッキーをつまんで、
キッチンに下がって片づけを始めた田代さんを見る。

「違う違う。奥さんが作ったんだよ。旦那さんの為に」

「え?まじで?

 なんで?浮気を疑ったののお詫び?」

「そっ。そんな、疑ったというかーー」

春乃はあわてて訂正する。
リュートは面白そうに笑ってパクリとクッキーを食べた。

「おいしいな。
 春乃ちゃん上手だなー。」

リュートはにっこりと綺麗な笑顔で笑った。


ーーどきん。

春乃は胸が脈打つのがわかった。
そんなに綺麗な笑顔を見るとやっぱり
カッコいい人だなと自覚する。


「でも、もうちょっと建志を信じてやれよな?」

リュートは
もう一つクッキーに手を伸ばしながら春乃を見つめる。

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