素敵に政略結婚♪◆
「かわいい春乃ちゃんに免じて
一つ情報を。」
ごほんと、軽く咳払いをして、
ガタンと席を立ってスーツをきゅっと整える。
「本日、旦那様は大変 朝から機嫌が悪く、
仕事の要領も悪いように見られます。
休憩中も、どうやらうわの空で、奥様を気になさっているようでしたよ?」
リュートは、口の端を軽く上げるだけの微笑をして
春乃に深く頭を下げた。
そして、頭をゆっくりあげると、
驚いたような春乃をみて、
あはははと 楽しげに笑った。
「え?そんな。
---そうなん ですか?」
春乃はなんだか恥ずかしくなって、
顔をぱっと抑える。
「そうそう。
昨日遅くなったのがいけなかったのか?とかー
もしかしたら、春乃の体調がわるいのか?とかー
出勤仕立てで、もう帰ろうとしてたからな~」
「愛されてますね。奥様。」
松本さんがうれしそうに笑ったものだから、春乃はまたうれしくなって
顔が紅くなるのがわかった。
「うれしいです。
そうですか。
建志がそんなに、大事に思ってくれてるなら、
愛人の一人や二人、大きな目で見ないといけませんよねっ」
ーーそうよっ。頑張らなきゃっ。
春乃は小さくガッツポーズをして見せる。